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【レポート】『井のいち文庫』をつくろう! Sewing books at knulpAA

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石神井公園駅そばのギャラリー、クヌルプにてSewing booksワークショップを行いました。この地域では、今回ワークショップを行ったクヌルプのような地域のお店や図書館が協力しあって、『井のいち文庫』というプロジェクトを行っています。

『井のいち文庫』は、まちの人たちが誰かに読んでもらいたい読み終わった本を提供して、その本たちが協力しているお店や図書館の本棚に置かれ、まちの人に貸し出されることで、みんなの本が街を巡っていくというプロジェクトです。
それぞれの本には提供してくれる方のメッセージが書かれ、読んだ人もコメントを書き込めるようになっています。もともとブックピックのかつての企画もインスピレーションの元にしてくれたようで、今年からブックピックでもこのプロジェクトに協力させていただいています。

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今回は、この『井のいち文庫』と連動した形で、Sewing booksを行いました。
クヌルプはとても素敵なこじんまりとしたギャラリーなので、今回は少人数で続けて2回ワークショップを行いました。少人数バージョンは初だったのですが、ご近所の方々が集まってくれて、とても凝縮された会になりました。
ご近所さんと言ってもみなさんバラエティーに富んだ方々で、陶芸の作家さん、ジュエリー作家さん、神社の宮司さん、カメラマンの方、図書館員の方、音楽家の方などなど、どんな本を持ってきてくれたのかが気になる方ばかり。
みなさんつながりを作るときには、少し苦労していたようですが、結果としてはいつものようにたくさんのつながりができました。

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1回目の会は、西村佳哲さんの『自分の仕事をつくる』が軸になるような展開で、さまざまな本を切り口に仕事のさまざまな側面が見えるような流れができました。
ヘルマン・ヘッセ『庭仕事の愉しみ』とは「自然との調和」というキーワードでつながり、すべからく仕事にとっても「自然との調和」がかかせないことが見えたり、村上春樹『走ることについて語るときに僕の語ること』とのつながりからは、どちらの本も一見文化的な爽やかな印象があると思いきや、キーワードは「ギラギラ」。どちらの本にも実は「ギラギラ」した貪欲な姿勢が重要なことが書かれていることがわかったりしました。

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続けて2回目の会は、かなりテクニカルなつながりが多くでた会でした。
よしもとばなな『キッチン』と『ANNIE LEBOVITZ1995(写真集)』のつながりは、「日本大学芸術学部」。『キッチン』は、作者のよしもとばななさんが「日本大学芸術学部文芸学科」を卒業していること。『ANNIE LEBOVITZ1995(写真集)』は、これを持ってきてくれた方が、プロのカメラマンさんなのですが、実は彼はこの本を読んで感銘を受け「日本大学芸術学部写真学科」に入り写真の勉強をしてプロになった、というのです。本だけでなく読んだ人の体験が含まれた、Sewing booksでつながる醍醐味です。
また、キーワードが「西武新宿線」というのもありました。これは『キッチン』と村上春樹『回転木馬のデッド・ヒート』の2冊のつながりで、この2冊とも「西武新宿線」の通勤で読んだからというつながりでした。ただ、お話を聞くと「電車」ではダメなようで、山手線でも中央線でもなく、「西武新宿線」の通勤がベストなのだと、お二人で頷きあっていました。借りて帰って、「西武新宿線」で読みたくなります。

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ふだんのSewing booksは、つながりを作った本はまた持ち帰っていただくのですが、
今回は『井のいち文庫』と連動ということで、これらの本はクヌルプの井のいち文庫本棚に提供していただきました。
当日すでに借りられていった本もありますが、それ以外はクヌルプで借りることができます。
店主の町田さんも今回ワークショップに参加していただいたので、当日のお話もしてくれると思います。

ぜひクヌルプの展示を見に行きつつ、井のいち文庫を借りてみてください。

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Sewing books:
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