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2014年09月 アーカイブ

2014年09月06日

【レポート】『井のいち文庫』をつくろう! Sewing books at knulpAA

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石神井公園駅そばのギャラリー、クヌルプにてSewing booksワークショップを行いました。この地域では、今回ワークショップを行ったクヌルプのような地域のお店や図書館が協力しあって、『井のいち文庫』というプロジェクトを行っています。

『井のいち文庫』は、まちの人たちが誰かに読んでもらいたい読み終わった本を提供して、その本たちが協力しているお店や図書館の本棚に置かれ、まちの人に貸し出されることで、みんなの本が街を巡っていくというプロジェクトです。
それぞれの本には提供してくれる方のメッセージが書かれ、読んだ人もコメントを書き込めるようになっています。もともとブックピックのかつての企画もインスピレーションの元にしてくれたようで、今年からブックピックでもこのプロジェクトに協力させていただいています。

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今回は、この『井のいち文庫』と連動した形で、Sewing booksを行いました。
クヌルプはとても素敵なこじんまりとしたギャラリーなので、今回は少人数で続けて2回ワークショップを行いました。少人数バージョンは初だったのですが、ご近所の方々が集まってくれて、とても凝縮された会になりました。
ご近所さんと言ってもみなさんバラエティーに富んだ方々で、陶芸の作家さん、ジュエリー作家さん、神社の宮司さん、カメラマンの方、図書館員の方、音楽家の方などなど、どんな本を持ってきてくれたのかが気になる方ばかり。
みなさんつながりを作るときには、少し苦労していたようですが、結果としてはいつものようにたくさんのつながりができました。

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1回目の会は、西村佳哲さんの『自分の仕事をつくる』が軸になるような展開で、さまざまな本を切り口に仕事のさまざまな側面が見えるような流れができました。
ヘルマン・ヘッセ『庭仕事の愉しみ』とは「自然との調和」というキーワードでつながり、すべからく仕事にとっても「自然との調和」がかかせないことが見えたり、村上春樹『走ることについて語るときに僕の語ること』とのつながりからは、どちらの本も一見文化的な爽やかな印象があると思いきや、キーワードは「ギラギラ」。どちらの本にも実は「ギラギラ」した貪欲な姿勢が重要なことが書かれていることがわかったりしました。

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続けて2回目の会は、かなりテクニカルなつながりが多くでた会でした。
よしもとばなな『キッチン』と『ANNIE LEBOVITZ1995(写真集)』のつながりは、「日本大学芸術学部」。『キッチン』は、作者のよしもとばななさんが「日本大学芸術学部文芸学科」を卒業していること。『ANNIE LEBOVITZ1995(写真集)』は、これを持ってきてくれた方が、プロのカメラマンさんなのですが、実は彼はこの本を読んで感銘を受け「日本大学芸術学部写真学科」に入り写真の勉強をしてプロになった、というのです。本だけでなく読んだ人の体験が含まれた、Sewing booksでつながる醍醐味です。
また、キーワードが「西武新宿線」というのもありました。これは『キッチン』と村上春樹『回転木馬のデッド・ヒート』の2冊のつながりで、この2冊とも「西武新宿線」の通勤で読んだからというつながりでした。ただ、お話を聞くと「電車」ではダメなようで、山手線でも中央線でもなく、「西武新宿線」の通勤がベストなのだと、お二人で頷きあっていました。借りて帰って、「西武新宿線」で読みたくなります。

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ふだんのSewing booksは、つながりを作った本はまた持ち帰っていただくのですが、
今回は『井のいち文庫』と連動ということで、これらの本はクヌルプの井のいち文庫本棚に提供していただきました。
当日すでに借りられていった本もありますが、それ以外はクヌルプで借りることができます。
店主の町田さんも今回ワークショップに参加していただいたので、当日のお話もしてくれると思います。

ぜひクヌルプの展示を見に行きつつ、井のいち文庫を借りてみてください。

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Sewing books:
http://www.bookpickorchestra.com/works/sewing_books.php

2014年09月12日

【レポート】Fantastic Arcade Project「まち、ひと、ほん。」<前半>

夏休みも終盤に近づき、小学生は宿題が気になりだす季節。
福岡県は、北九州の小倉にある魚町サンロードにて、
ワークショップとトークセッションをしてきました。
今年の1月、3月に続き、3回目となる今回は、
その名も「まち、ひと、ほん。」

2015年のアーケード撤去と街の生まれ変わりに向けて、
約30年間アーケードの下でつむがれてきた物語をアートの力で掘り起こし
「人と人とのつながりのアーケード」をかけ直す試みFantastic Arcade Project。
その一環として、「まち、ひと、ほん。」を巡るワークショップと、
トークセッションを行いました。

初日は金曜日、久々の魚町サンロードです。
半年弱ご無沙汰していただけでも新しいお店ができたりと、
街がさらに華やかになっていて驚きました。
そして、トーク会場はどこかなー、と聞いてみたら、
なんとアタゴ書店のとなりの久光家さんの前を使わせていただき、
サンロードの通りをはさんで開催するという、斬新な設定。

この手前がわたくしと1日目のゲスト、ブックスキューブリックの大井さんですね。
なんだか勝手に道端で話しているようですが、道の反対側に・・・

お客さんはいます!

道を歩く人が登壇者とお客さんに挟まれるという前代未聞の会場設計。
案内役としてはお客さんの顔が見えずかなりフワフワしましたが、
お客さんからは「舞台を見ているよう」と好評のようだったので一安心です。


さて、トークセッション1日目のお相手は、
福岡で面白い本屋さんといえば、真っ先に名前の上がる、
ブックスキューブリックの大井実さん。

私も各地でお名前を聞きすれ違いもしていたのですが、
ちゃんとお話するのは初めてでした。
どのような経緯でブックスキューブリックを開店するに至ったのか、
けやき通り店と箱崎店のそれぞれの特徴や大変だったことから、
BOOKUOKA(ブックオカ)の話、イタリアにいらしたときの体験、
そして奥様との出会いの際の本のプレゼントのことまで、
いろいろなお話を聞かせていただきました。

大井さんは、全国区で有名な本のイベントブックオカを立ち上げ、
実行委員長もされています。
お話の中で特に印象に残ったのは、以前のブックオカでのイベントにて、
角田光代さんをお呼びした際に、その場で150冊ほどの本を販売したというお話。
150冊!という数がまずすごいんですが、実は会の盛り上がりのために、
事前にたくさんの仕掛けをしていたことを話をしてくれました。
大井さんはもともとイベントを企画・運営する会社で働かれていたこともあって、
その仕掛けの巧みさや独自性は、本屋さんというよりも、
イベントのプロの仕事を感じさせるものでした。

「ユニークで楽しそうな活動の一方で、運営面や企画の計画性といった実務的な部分をしっかりやる両方のバランスがとても重要。」

「お店もイベントもこれこそがやりたいんだ!という強い気持ちを持つことが大事、その気持ちは本や体験を通してわかってしまう。」

ということを実際の試みとともに熱くお話いただくその様子から、
ブックスキューブリックさんが福岡のみなさんを魅了している、
その理由の一端が垣間見えたような気がしました。

そういえば、我々の話している後ろの窓格子の中に座っている人々、気になりますね。
窓格子の向こうのみなさんの偉大さは最後に説明します。


さて、次の日、2日目の土曜日には、
午前中にSewing booksワークショップを行いました。

アタゴ書店の2Fで朝からこっそり始めたのですが、
始まったらみなさん大盛り上がりで、
タイムキーパーをしている私の声を無視して本の話を続けます。
本の話で盛り上がるのが大目的なので、主催者としては喜ばしい限りなのですが、
みんなあまりに熱くなっててふつうに無視されるので、私はまさに蚊帳の外。
傷心の中、進行します。

今回ものいつも通りたくさんのつながりができましたが、
深いところでつながったものが多く感心させられました。
中でも参加したみなさん納得の最後のつながり発表は、
イベントの趣旨ともあいまって鳥肌が立つようでした。
つながった本は、藻谷浩介さんの『里山資本主義』と
いせひでこさんの絵本『ルリユールおじさん』。

「ルリユール」は、フランス語で手製本の技術を指す言葉。
小さな女の子が自分の大事にしていた本がボロボロになってしまって、
どうにかできないかと街をめぐり、新しい本も何だか違うと迷うなか、
ついに「ルリユールおじさん」に出会って、自分の本を新しく、
製本しなおしてもらうというお話。
本を持ってきてくれた方は、ページ構成の妙を紹介しながら、
「「ルリユール」には「もう一度つなげる」という意味もあるんです」
と説明してくれました。
一方、『里山資本主義』は、新しい経済について書かれた本。
里山のお金に還元できない大切な資本に注目して、豊かな生活を考えなおそう、
という今話題の一冊。2冊のつながりキーワードは、「再生」です。
その理由は、古書や里山のような昔からあるもの中には、他にない価値がある。
その価値を見出して、新たな形で再生していくことが、
この2つの本にはそれぞれ別の形で描かれている、ということでした。

そこでみんながピンッと来たのは、まさに今回のFantastic Arcade Projectも、
魚町サンロードの約30年間の過去の物語を掘り起こし、
これからのアーケードという新たな形で新しく再生していこうという、
同じようなコンセプトの元に始まっているということ。
偶然にしては美しすぎる流れに、
終わった後もしばらくみなさん興奮冷めやらぬ感じでした。

さて、次は3夜連続トークセッションの2日目ですが、
ちょっと長くなってきたので、ここらへんで<前半>終了です。

後半へ続きます。

2014年09月15日

【レポート】Fantastic Arcade Project「まち、ひと、ほん。」<後半>

<前半>に続き、
Fantastic Arcade Project「まち、ひと、ほん。」のレポート後半です。

3夜連続トークセッション、2日目のお相手は、
小倉の一箱古本市「とほほん市」の岩本史緒さんと、
小倉の市場「旦過市場」にピクルス&お野菜茶「はしご屋」を開業した後藤大悟さん。

岩本さんはふだんは北九州芸術劇場で働かれながら、
「とほほん市」をはじめとした街の活動に関わっています。
一方の後藤さんも、ふだんは種苗屋さんとして種や土を相手に働かれながら、
「はしご屋」を運営しています。

お二人に共通してとても印象に残ったのは、
その活動の根本にある「なぜいまの仕事をしているのか?」という理由でした。

後藤さんは、ふだん種苗屋さんとして、様々な農産物に接している中で、
野菜の魅力をもっと発信したいと「はしご屋」を始めたのですが、
種苗屋さんとして扱っている野菜の種類はほんとうに多彩。
例えば、そのあとのケータリングごはんで出してくれたミニトマトだけでも、
赤から緑、そして紫のものまで4、5種類あります。
「トマトといっても、本当にいろんな種類がある。その種類によって、
味も食感もさまざま。さまざまな野菜の魅力を知ってもらいたい。」
と後藤さんは言います。

たしかに、料理に何の野菜が入っているかというときに、
今でこそ産地までは気にしますが、それがどんな品種のもので、
その品種にはどんな特徴があるのかまではほとんどの人が知りません。
野菜の品種の特徴や性格、土地との相性、育てやすさなど、
広大で奥深き野菜の世界を感じさせられるお話でした。

一方、岩本さんは「とほほん市」という小倉で開催される一箱古本市を、
とってもゆるーい感覚で開催されています。
そのゆるさのセンスはすばらしく、そのコピーも秀逸。
「さんぽ サンデー とほほん市」です。
コピーからチラシ、サイトまでゆるいのに引き込まれる独特の魅力があります。

今回、ゲストのみなさんにはお気に入りの本を持ってきてください、と
事前にお話してあったのですが、岩本さんはさぞゆるい1冊なんだろう、
どんなゆるい本なのか愉しみだなぁ、とほんわかしていたところ、
なんと手にされているのは、ミシェル・フーコー『監獄の誕生』!!
フランス哲学の知の巨人、ミシェル・フーコーが、
近代に確立された監獄の仕組み、一望監視システム「パノプティコン」を軸に、
近代社会の原理を監獄に見ていくという、重厚なる1冊!文句なしの哲学書です。
私も何年ぶりかに「パノプティコン」と口にしました。
なんと「のほほん市」がフーコーの思想の延長上に置かれるとは!
急激の展開にもう冷や汗たらたらです。

後藤さんが、野菜に対する概念の監獄を崩そうと「はしご屋」を運営し、
岩本さんは、近代社会の監獄性を打ち倒そうと「とほほん市」を行われているとは、
小倉はなんてラディカルな街なんだと思いしらされました。
かわいいワッペンのついた袋から取り出されたのが、鋭いドスだったかのような、
小倉の芯の太さに目を覚まされる2夜目でした。


早くも最終日の3日目。
深夜に大雨が降り、朝から生憎の雨模様。
午前中のワークショップは残念なことにキャンセルが続いてしまい、
少人数だったので、持ってきた本を元にお話会をしました。
短めにお茶を飲みながら、休日の朝から本の話をして愉しもうと始まったら、
これまた午前中とは思えないディープな話になり、
相対性理論から超ひも理論、五次元理論に民藝運動、仏教の話を経由して、
気づいたら仏陀まで出てきてしまいました。
うーん、小倉住民の方もまた恐るべし、前夜から深くいい話が続きます。

3夜連続トークセッションの最後は、
1月、3月からいっしょに参加したり、協力していただいているサンロードのお店や
作家のみなさんに集まってもらって、みなさんそれぞれの活動や、
持ってきた本との関係性について話してもらいました。
2日間を経て、本のある場所を作っていくことは考えつつも、
すでにこの街にいる方々が自分の活動とともに、どう本と関係してきたのかが気になり、
みなさんに本の話をしてもらいました。

今回の登壇者のみなさんのことはある程度知っているつもりでいたのですが、
実際に話を聞いてみると、知らなかったそれぞれの歴史に触れることができました。


邦楽の店 渡辺の丸山望さんは、もともとロックが好きだったことから、
バンドを始め、そのうちにギターを作ってしまうところまで来て、
楽器制作の仕事に向かい、今では三味線から太鼓、琴などなど、
和楽器の修理から制作まで手がけられています。
丸山さんがとても面白いのは、今もロックと変わらない感覚で、
和楽器と関わられていること。
丸山さんの見た目も和楽器制作の方というよりも、
ミュージシャンと言われた方が納得しやすいかもしれません。

今回、森達也『放送禁止歌』という本を持って来てくれました。
この本は、世の中で放送されなくなった歌、それらはなぜ「放送禁止歌」となったのか、
誰が規制をしたのかを探っていくという、目の付け所も内容も骨太な一冊。
少しネタバレになってしまいますが、実は誰も規制した人はいなく、
実はみんながそれぞれに自主規制をして、「放送禁止歌」という、
あたかも禁止されているような考え方ができてしまった、とのこと。
紹介する丸山さんのお話を聞いていると、
丸山さんがロックの感覚で和楽器に関わり続けるという、
まさにロックなスタイルを貫いているかが少し納得できたような気がしました。


emoさんは、ドローイングや切り絵といった手法を使って、キャンバスはもちろん、
かばんから靴までなんでも世界観を表現してしまうアーティストです。
真っ赤な壁紙のお店がとても印象的だったのですが、
実はモノクロの作品が多かったり、作品もとても繊細。
自己紹介では元ホームレスだった!話なども出て、とても興味深い内容でした。

持って来てくれた本は、
ジョナサン・サフラン・フォアの『エブリシング・イズ・イルミネイテッド』。
若手の注目されてる作家なので、海外文学をたくさん読まれているのかなと思ったら、
「ぜんぜん知らない作家だったんですよ」とemoさん。
そう、emoさんの本の選び方はとってもユニークでした。
彼女が買う本は初版に限られるそうで、それはなぜかと言うと、
彼女は本屋さんに言ったら、自分の生まれ年のワインを探すように、
自分と同じ誕生日の本を探して買っているとのこと。
この本もそうして出会って大好きになった本なのだそうです。
これは思いつかなかった面白い発想だなぁ、ととても驚かされました。


よしいいくえさんは、モビール作家さん。
(トーク中の写真がなく。。。打ち上げの写真です。)
よしいさんがつくるモビールはとてもかわいらしくて、
その場をパァーと照らすような明るさがあります。
もともと、彼女は油揚げの会社で事務の仕事をされていて
(ここらへんがもう、らしさ満点なのですが)、
その際のオフィスがふつうの雑居ビルで、まさに事務作業!といった感じの
暗いところだったそうです。
そんな環境の中で、少しずつオフィスをパッと明るくするような
ちょっとした雑貨などに興味を惹かれていき、よき出会いもあって、
モビール作品を作るようになったそうなのです。

よしいさんは、いま【城野団地リノベーションプロジェクト】で、
「よしいさんの、毎日」という、モビールで綴る日記を更新中で、
こちらのブログも注目なのですが、モビールを始めるまでの前史のストーリーも、
まるでよしいさんの作るモビールの世界での出来事のようで感心してしまいました。

持ってきてくれた本は、東海林さだおさんの本。
「とっても大好きな本、この人は天才です!」といって紹介してくれたその本は、
近くのおすすめの蕎麦屋さんで偶然に出会った本とのことでした。
蕎麦屋で東海林さだおさん、いいなぁと思って、
「その蕎麦屋さんのおすすめメニューは何ですか?」と聞いたところ、
答えはなんと「カレーうどん!」
蕎麦屋さんなのに、うどん!しかも、カレー!!
うーん、よしいさんさすが、ブレがありません。


塩井一孝さんは、フロッタージュという手法を用いて絵画や彫刻、
インスタレーションを行っている美術作家。
フロッタージュは、石や木の表面に紙を押しあて、その上を鉛筆などで擦り、
ものの表面を紙に写し取る技法です。
もしかしたら、子供の頃に10円玉や100円玉を映しとった経験のある方も
いるかもしれません。
しかし、塩井さんのフロッタージュ作品は
今まで見たフロッタージュとは全然印象が違いました。
はじめに小倉に来た時、昔の倉庫の一室を覆う
塩井さんのフロッタージュ作品を見せていただいたのですが、
写し取られた物質の肌がその壁に息づいているような存在感がありました。

持ってきてくれた本は、石川直樹さんの『この地球を受け継ぐ者へ』。
石川さんの初期の本で、「Pole to pole 2000」という、
世界中から集められた8人の若き冒険家が人力だけで北極から南極まで旅をする、
冒険プロジェクトに参加した時の日記をまとめたもの。
これを読んで、塩井さんは大いに刺激を受けたと話してくれました。
塩井さんとは、お茶したり散歩したり、
いっしょに過ごす時間が幾度かあったのですが、
この本を介してみると、なるほどとうなづけるエピソードがいくつかあったりして、
改めて本を紹介してもらう、とその人が見えてくるなぁと思いました。
このあとに見せてもらったポートフォリオの中にある、
波打つ川の岩の上でフロッタージュしている写真に映った塩井さんの背中には、
貴重な遺跡を映し取るかのような、冒険家の気配が感じられました。

今回ワークショップ、トークセッションに参加いただいた方には、
塩井さんの作ってくれた特製のフロッタージュブックカバーが配られ、
そのフロッタージュカバーも独特の味わいあるブックカバーに仕上がっていました。

小倉にはかつて、いくつかのすばらしい本屋さんがあり、
その一つには「金栄堂」という、今も語りつがれる本屋さんがあります。
金栄堂が語られる有名な話の一つに、店主自らお願いして絵を描いてもらったという、
伊丹十三が意匠を手がけた金栄堂のブックカバーがあります。
伊丹十三ファンには、今も探している人がいるほどに
語り継がれている名作ブックカバーなのですが、
今回なんと!「邦楽の店 渡辺」さんが特別に金栄堂さんにお願いしてくれて、
一枚いただくことができました。

かつて小倉の文化を支えた金栄堂のブックカバーと、
Fantastic Arcade Project特製のブックカバー。
この2枚をトークの最後にみなさんに見ていただきながら、
3日間続いた「まち、ひと、ほん。」は幕を閉じました。

そして、最後に書いておかなくてはいけないのは、
トークの写真にチラチラリと写っている、窓格子の向こうの世界のみなさんのこと。
彼らは、今回のイベントを一冊にまとめるべく、
編集のマイアミ企画さんと、グラフィックデザイナーのオカザキトモノリさんを中心に、
熱き同志が集まって編成されたZINEチーム。

この数日間、昭和な民家の待合室が、数台のMacで埋まり、
扇風機が回る室内は、あたかも大学の部室を思わせる風情。
その中である人は腱鞘炎が心配になるスピードでタイプ打ちし、
ある人はテキパキとテキストを編集してまとめていき、
またある人は、編集されたテキストを紙面にレイアウトしていきます。
表紙も1枚1枚カラースプレー片手にすべて手作り。
そして、最終日に製本されて出来上がったのが、このZINEです!

それぞれのメンバーが自分の役割をこなしながら、
ZINEの製作工程がどんどん進んでいく様子を見ていると、
往年の名作TVドラマ、特攻野郎Aチームが脳裏をかすめました!
無謀なプロジェクトにチームワークで挑む姿は、まさしく特攻野郎ZINEチーム!
みんな本当におつかれさまでした!ありがとう!

完成したZINEは、この日完成してオープンした、
「ナツメ書店」で手に取ることができます。
店長の倉内さんは、1日目に対談した大井さんのブックスキューブリックで
働いていた経験を持つ倉内さん。
「まだまだプレオープン状態なんです。」と倉内さんは言ってましたが、
つい立ち寄ってしまうなぁ、と思わせる本たちと店内インテリアの完成度。
「ナツメ書店」の今後にも期待です!
 

福岡方面へ行く方は、ぜひ魚町サンロードのある小倉の街にぜひ立ち寄ってみてください。

2014年09月17日

9/20(土)〜23(火・祝)、 10/4(土)〜6(月)
旅するギャラリー・本とコーヒーとうつわ展

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桑原商店さんの「旅するギャラリー・本とコーヒーとうつわ」展に
「本」の担当で参加します。
桑原商店さんの旅するギャラリーは、
主宰の桑原玲子さんが作家さんの新作器を車に詰め込み、
各地を旅しながら個展を開催してしまうという、企画!
今回は、初秋にふさわしい「本とコーヒー」をうつわと共にご提案。
佐々木康弘さんの新作のマグカップやドリッパー、カフェオレボウルに合わせた、
本のご提案をさせていただきます。

今回の旅するギャラリー、スタートの地・高崎は、
ブックピックオーケストラのメンバーでもある土屋くん主宰のsuiranが担当し、
そのあとの神戸と東京をブックピックオーケストラが担当します。


in神戸の会場は、六甲山中腹にあるケーキ屋さん「ボンポアン・フィル」。
ボンポアン・フィルにてコーヒーor紅茶をご注文の方に、
佐々木康弘さんのマグカップとテーマ別の古書をセットで選んでいただけます。
佐々木康弘さんのマグカップとともに、本のあるカフェの時間をお楽しみください。

また、21日の日曜日には、
新たな本との出会いを体験するワークショップ“Sewing books”を開催します。
新たな本との出会い方をを体験したいという方は、
本をあまり読まない方もたくさん読む方もどんな方でも参加大歓迎です。
お近くの方は、大好きな本を1冊持ってぜひご参加ください。

日程:9/20(土)〜9/23(火・祝)
場所:ボンポアン・フィル(兵庫県神戸市北区鈴蘭台北町1-10-3)
   http://www.bonpoint.co.jp/fil/access.html
時間:10:00〜19:00

☆Sewing booksワークショップ
場所:ボンポアン・フィル(兵庫県神戸市北区鈴蘭台北町1-10-3)
   http://www.bonpoint.co.jp/fil/access.html
料金:1800円(ボンポアン・フィルのお飲みものとケーキ付き)
持ち物:お気に入りの本一冊(ジャンル問わず)
ご予約・お問い合わせ:桑原書店 kuwabarastore@gmail.com

Sewing books詳細
http://www.bookpickorchestra.com/works/sewing_books.php


in東京の会場は西荻窪駅から徒歩7分、
住宅街の中にあるすてきなお店、松庵文庫さん。
こちらではbook pick orchestraの「文庫本葉書」が、
桑原商店おすすめの長野県佐久市望月のすばらしきカフェ「YUSHI CAFE」の
オーガニックブレンドコーヒー豆、佐々木康弘さんのマグカップと
3点セットになって限定販売されます。

文庫本葉書とは
http://www.bookpickorchestra.com/works/bunkobonhagaki.php

日程:10/4(土)〜10/6(月)
会場:松庵文庫(東京都杉並区松庵3-12-22)
   http://shouanbunko.com/access
時間:11:30〜18:00

9/26(金)SAKE TO BOOKS vol.6 @ SUNDAY ISSUE

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9/26(金)、ご用意したお酒とともに本を楽しんでいただく
「Bar SAKE TO BOOKS vol.6」がオープンします。

SUNDAY ISSUEの本棚から
book pick orchestra 川上洋平が貴方のために今宵の本を選び、
渡辺敦子が選りすぐりの飲み物をご用意します。
本に関する話題ならどんな単語も拾い上げて広げる、
豊富な知識に基づいた絶妙なトークとともに
とっておきの美味しいお酒をお楽しみください。

今回のお酒は、知る人ぞ知る、四恩ワイン。
なにしろ手に入りにくい。醸造責任者自身が葡萄栽培も行っていて、
もちろんヴァン・ナチュール。
エチケットは絵画だし、ラベルに品種名はないし、
コルク栓でなくてスクリューもあるし...と
ルックスにも独特のこだわりが見え隠れしてますが、
味と、飲んだ後の感覚の軽さには虜になります。
白・赤・ロゼと数量限定でご用意しています。

主催者の友人つながりを中心にお誘いしております。
気心知れた行きつけのバーのように
みなさんの交流の場ともなれば幸いです。


【日時】
 2014.9.26(金) 18:30-22:30頃

【エントランス】
 無料(1drink オーダー制)

【場所】
 SUNDAY ISSUE
 〒150-0002東京都渋谷区渋谷1-17-1 美竹野村ビル2F
 http://goo.gl/maps/QxQXq

———————————————
川上 洋平
book pick orchestra代表。
ブックピックオーケストラは、人と本が出会う素敵な偶然を演出するユニット。
渋谷のSUNDAY ISSUE、益子のSTARNET、新宿のシェアオフィスHAPONを
はじめとした書籍の展示販売や、
全国各地での「文庫本葉書」などオリジナル商品の販売、
本にまつわる企画・ワークショップなど、
本のある生活をふやすために、新たな本のあり方を提案。
http://www.bookpickorchestra.com/
———————————————
渡辺 敦子
プランナー/ディレクター。
栃木県益子町にあるSTARNETにて、ものづくりと地産地消、
循環型の暮らしを経験した後、天然繊維と生活雑貨の店「かぐれ」を立ち上げる。
ブランドのコンセプト、商品企画、イベント企画等を手がけながら、
日本の手仕事と、食を中心とした暮らしに関する分野で活動中。

2014年09月21日

☆文庫本画廊展とワークショップ / Book! Book! AIZU

10月1日からはじまる「Book! Book! AIZU 2014」に、文庫本画廊で参加します。

2年前の第1回に参加して、わたしにとってはじめましてだった会津の街に親しみを持つことができました。今年、ふたたびお声がけいただいて、とてもうれしいです。


文庫本を包み、絵の部分だけを切り取るように額縁をつけて仕上げた「文庫本画廊」。キャプションは絵のサイズと作者名、本の発行年・印刷年、印刷会社の記載のみで、本の題名や作者名はわかりません。
画廊で絵画を買うように絵をじっくり眺めて、新しい本と出会ってください。

今回は、会津若松と喜多方、2つの会場で同時開催します。それぞれ別のセレクターが本を選ぶ、文庫本画廊初の対決(?)企画です。どちらも個性的! 包むのがとても楽しかったです。

喜多方は岩手県の“ヒトハコフルホニスト”ばったりたおれ屋さん。6月のBook! Book! SENDAIで「いつかいっしょに」と話して、思いがけず早く実現! お気に入りの柳原良平装画の文庫本を送ってくださいました。
もうひとつの会津若松では、ブックピックオーケストラ代表・川上洋平セレクトの本が並びます。こちらは、和洋、具体・抽象、さまざまですが、川上好みが炸裂しています。
どちらも同じ文庫本画廊展ですが、まったくタイプがちがうので、ぜひ両方見て、お気に入りを見つけてください。

そして、Book! Book! AIZUメイン期間の10月13日にはワークショップもあります。お気に入りの本を文庫本画廊に仕立てませんか? できあがったものをプレゼントするのもおすすめです。
また、ワークショップでは毎回、本の話をしながら、楽しくなごやかなひとときを過ごしています。持ちものは文庫本画廊にしたい本1冊だけ。そのほかの材料や道具はこちらですべて用意します。どうぞ、お気軽にご参加ください。


■文庫本画廊展(展示・販売)
 喜多方: ばったりたおれ屋好みの文庫本画廊展
 会津若松: 川上洋平好みの文庫本画廊展

 期間: 2014年10月1日(水)~13日(月・祝)
 場所: 喜多方・食堂つきとおひさま  会津若松・三番山下
    

■文庫本画廊作りワークショップ
 お好きな本を1冊お持ちいただき、文庫本画廊を作るワークショップです。

 日時: 2014年10月13日(月・祝) 所要時間 2.5時間
     10:00~12:30(喜多方・食堂つきとおひさま)  14:30~17:00(会津若松・三番山下)
 定員: 各回5名
 参加費: 1,600円(文庫本以外の材料費を含みます。ドリンク付)
 持ち物: 文庫本画廊に仕立てたい文庫本1冊(道具はこちらでご用意します。)
 申込み: こちらのページからお願いします。


■会場情報

 喜多方: 食堂つきとおひさま
 喜多方市字寺町南5006番地
 tel 0241-23-5188
 URL http://tukitoohisama.com/

 会津若松: 三番山下
 会津若松市大町1丁目1-57 紀州屋1934 2F
 tel 0242-26-1330
 URL http://sanban-yamashita.biz/


■Book! Book! AIZUホームページ →http://bookbookaizu.info/

2014年09月26日

9/30(火)風の図書館 at FARO

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夏の気配も薄れてきた心地よい季節。
都会の真ん中で、空と風を感じられる読書空間を提供します。

外苑前の閑静な住宅街の中にある
クリエイティブワークプレイスFAROさんの屋上にある、
ルーフテラスにて、時間限定の図書館をオープンします。

広々とした空の下で、
頬や素足に伝わってくるさわやかな風を感じる読書は、
通勤電車の中で読むのとは、同じ本でも全く印象が違います。
この日は少し早めに仕事を切り上げて、
空の下で読書をする、そんな贅沢な時間を一緒に過ごしませんか?

夕暮れの時間は、太陽の光の元で、
暗くなってからしばらくは洋燈をご用意します。

時間限定の自然の風に包まれた図書館を体験しにいらしてください。

【日時】 9/30(火)17時半〜20時頃
【場所】 FARO 東京都港区南青山 2-15-5
     http://faroaoyama.com/
     http://www.facebook.com/faroaoyama
【持ち物】読みたい本
【参加費】無料(1drinkオーダー制)
【定員】10名限定(お一人様大歓迎です!)

【申込方法】メールにてお申込みください。
「9/30 風の図書館 参加希望」という題名で
「お名前」、「参加人数」
 明記の上、下記宛先までメールでご連絡下さい。
 contact@smalltokyo.jp

※天候等で中止にする場合は前日に、メールにてご連絡いたします。
※ドレスコード:床に音が響かない靴(ハイヒールはご遠慮ください)
       (裸足になると、とってもキモチいいですよ。)
※注意事項:
・私語厳禁、携帯電話はマナーモードに。
 (大人の図書館ですのでマナーをお守りください。)
・椅子を運ぶ時は引きずらないで持ち上げて運びましょう

◎アクセス
http://goo.gl/maps/qhkZ4
銀座線「外苑前」駅4a出口徒歩4分、半蔵門線「青山一丁目駅」5番出口徒歩5分
※駅近ですが、住宅地の中にあり少しわかりづらいです。
全体が黒い新しい建物です。外の螺旋階段が目印。

◎外苑前駅からの文字説明
4a出口を左折。一つ目の信号で青山通りを渡ってから左折。
ひとつ先の右折できるところ(メガネ屋の角)を右折してしばらく直進、左手にドリームキッズと町内会看板が見えたら、右手の袋小路に入ると着きます(ドリームキッズよりは先、町内会看板よりは後ろ)。
電柱看板もでていますので探してみて下さいね。

◎緊急連絡先
03-5772-3653(small tokyo) ※場所不明時など