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「書き込みを遊ぶ」展、開催中です!

こんにちは、連休をいかがお過ごしでしょうか。ブックピックオーケストラの鬼島です。

4月26日よりスタートしました、「書き込みを遊ぶ」展は、連休最後の5月6日まで開催しています。
連休の後半、いままでにないような本の遊び方をしてみたい方は、ぜひ足をお運びください。

今回は、そんな「書き込みを遊ぶ」展の様子と、4月29日に行われた、共同展示者の五っ葉文庫・古沢和宏さんとのトークショーのもようとをレポートします。

「書き込みを遊ぶ」展の詳細情報はこちら

「書き込み」を遊ぶの様子

ブックピックオーケストラは今回の展示に「write on books」という企画で参加しています。
「write on books」とは読んで字の如く、本に書き込みをしてしまおうということです。

ふつう、古本に書き込みがあるということはマイナスポイント。
たとえ良い本であっても、古書市場では値段がつきにくくなってしまいます。
しかし、ユニークな書き込みがしてある本は、むしろその一冊だけの面白みを帯びてきたりします。
(ちなみに先日ぼくが買った太宰治の『人間失格』には、最後の奥付のページに「人間道 ただ一切が過ぎて行く」と書き付けられていました・・)

そこで、むしろ書き込みを加えていくことで、世界に一冊だけの本を作ってしまおうと考えたのが「write on books」です。

企画内容の詳細な説明は、こちらのページに譲りまして、今回の記事では写真を中心に展示のようすをお伝えします!


入口の正面展示

会場のCOUZT CAFEさんの扉をあけてすぐ正面がwrite on books。

台に本が並んでます

10冊ほどの本を用意しています。脇のペン束と説明ボードを手にとってレッツトライ!

そして、今回特に注目していただきたいのが・・この表紙の【箔押し】!

表紙の【箔押し】

ブックピックオーケストラのメンバーでもある「空想製本屋」の本間さんによる「write on books」の文字。渋く輝きます。

ちなみに、出展してある本はすべて、いわゆるカバーを外してしまってあります。しかし、実はカバーに隠れている表紙そのもののデザインも実は素晴らしいものが多いのです。
(むしろ、書店でのアイキャッチや広告用のオビとの関係も考慮しなければいけないカバーよりも、デザイナーさんの個性が発揮しやすい、という場合もあったりします)

そんなポイントも楽しんでいただけると嬉しいです・・!

write on books の書き込み

すでに独創的な書き込み、謎を呼ぶ書き込みがいろいろと為されています。

もちろん、展示された本はすべて購入することができます。一点3150円(税込)です。
購入していただいた本は、展示終了後に発送いたします。
(どんな「一点物」に仕上がっているか、お楽しみに・・ということですね。)


五っ葉文庫さんは著書『痕跡本のすすめ』で展開したような書き込みのある本の「読み解き」を体験する展示を出展しています。

「読み解き」の展示


会場となるCOUZT CAFEさんは東京メトロ根津駅近くの、おしゃれなカフェです。めずらしいビールも飲めます。ぜひお立ち寄りください。


さて、ここからは4月29日の『どっちがスゴい? 「書き込み」頂上決戦!!』 — ベクトルが180度違う二人が「書き込み」の魅力を語ります — と題されたトークのもようをレポートします。

トーク全体の様子

左から司会を務めた南陀楼綾繁さん、五っ葉文庫の古沢さん、ブックピックオーケストラの川上。

トークはお互いの書き込み本に関する活動の紹介から始まり、二人の書き込みに対する捉え方の違いを探っていく展開になりました。
書き込みを読み解くことで、その向こうにいる本の前主の姿を思い描こうとする古沢さん、書き込みを加えてもらうことで読書の面白さを拡げていこうとする、また世界に一冊だけの本としてのユニークさを増してみようと試みるブックピックオーケストラ。

古沢さんは、ブックピックオーケストラが書き込みの少ないものを「未完成」の書き込み本と形容していることに対し、書き込み本はどんなものであれそれで完結している、ある種の「作品」だと捉えていると話し、書き込みを加えるという発想に驚いたと話します。

いっぽう、ブックピック代表・川上は、古沢さんのような人の存在を以前から知っていたら、書き込みの面白さを伝えようとして企画したwrite on booksは生まれなかったかもしれないと率直に語りました。

2人のトークの様子

「書き込みのある本は完成したものとみているから、ぼくにとってwrite on booksはある意味で邪道(笑)」という古沢さん(左)

さらに、そんなベクトルの違う二人がそれぞれに持ち寄った書き込み本も披露。
英語の絵本の全ページに日本語訳が貼り付けてある本、微妙にタッチの違う絵が複数書き込まれ出来上がりの過程が気になる本、今と書体が違う荒川洋治のサイン本・・・
ひとくちに書き込みといってもさまざま! バリエーション豊かな書き込みの世界が展開されました。


「書き込み」を見せます

白熱するトークの様子

前半では(あえて?)対立したところも見せた二人でしたが、しだいに分かり合っていったようす。通底するのは書き込みの面白さを共有したい、という思いだったように感じました。


書き込みだけでこんなに見るべきところがあったのか! という濃密なトークでした。
古沢さん、南陀楼さん、COUZT CAFEさん、トークを聴きに来ていただいたみなさま、ありがとうございました!


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