昨日の益子は、天気もよく桜もちょうど満開。
山の食堂で野菜と向き合うようにごはんを味わい、
コーヒーショップでゆったりとした時間を過ごしてきました。
今回はスターネットのコーヒーショップから、
ブックピックオーケストラの本を何冊かご紹介します。
中谷宇吉郎とその師匠寺田寅彦の随筆本。
『柿の種』は現在も岩波文庫で読める名著ですが、この小山書店版がなんともいいです。中の文字組みもゆったりとしてすばらしい文章と調和した美しさがあります。
『日本のこころ』、そのタイトルは収録されている随筆を書いていた頃の中谷さんの実感からついています。
当時では珍しくアメリカにしばらく滞在していた中谷さんは、人からメリカにそのまま住み着きたくはなかったかと聞かれ、こう答えます。
「それはアメリカの方が住みよいと思ひます。しかし私は、味噌汁とらつきようがあるうちは、やはり日本に住みたいと思いますね」と。
河出新書の三冊。内容もさることながら、どれも個性的でワクワクする装幀です。いまの新書ではこういった個性的な表紙のものは見られません。
しかし、さらに輪をかけて河出新書は装幀に凝っているのです!それは……
カバーを外すと、本体装幀もなんともオリジナリティーの高くゆるくてすてきなデザインなのです。当時の河出新書の本体装幀は、庫田叕さんという方が担当しています。今までもおぉっ!と思ったデザインの本でよく名前を見る装幀家さんの一人です。
いま世田谷美術館で展覧会をやっている川上澄生の全集の一冊。
中にはカラーの図版がたくさんでどれもページを開いたまま飾りたいような作品ばかり。改めて眺めたことで駅から遠くたって、そうだ、世田谷美術館に行こう、と決心しました。
ちなみに、川上澄生は宇都宮の英語教師をしながら版画制作をしていました。
同じ栃木県の鹿沼市には、川上澄生美術館もあります。
ほんの一部の紹介でしたが、他にも選りすぐりの本を揃えてあります。
ぜひ珈琲とともに本を手にとり、別世界の扉を開いてみてください。