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2007年07月 アーカイブ

2007年07月18日

絵のない絵本


これまで長い文で長い本を紹介してきたので、
今日は短い文で短い本をご紹介したいと思います

ハンス・クリスチャン・アンデルセンの『絵のない絵本』です

色んなところから出ていますが、今日は新潮文庫のをオススメします
『夏の百冊』にも選ばれているし、表紙イラストは人気イラストレーターのスドウピウさんなんですヨ!

貧しい絵描きに 月が ひと晩にひとつずつ
お話しをしてくれます
夜毎 世界中をめぐって見下ろした 地上の 
幻想的な話し、悲愴な話し、愉快な話し

読んでいると、
小さな香水瓶や 古い切手や 玩具箱の玩具や
そんなものが集まっているような気持ちになります

眠る前にちょっとずつ読むのがオススメです!

私の特に印象に残っているのは
道化の恋
中国の若い恋人
フランスの玉座で死んだ少年
の話しでしょうか。

なぜ題名を『絵のない絵本』というのかちょっと考えてみますと
アンデルセンは言葉だけで美しいものを書いてみせました。
しかし、読み手のわたしたちの心に浮かぶのは美しい情景、わたしたちは読みながらそれらを目に浮かべるのです

そんな想像を楽しむ本だから『絵のない絵本』というのだと思います

アンデルセンは
昔話的手法を用いて 独自の童話を書いたことで知られています
例えば昔話的手法というのは
「3人兄弟がいたら、必ず2人のお兄さんは意地悪く失敗し、末っ子が幸運をつかむ」
というような物語の型のことです。

『絵のない絵本』は
どちらかというと
『即興詩人』のような、世界の美しい情景を切り取るスケッチのような、詩美のようなものを感じる話しです

ぜひぜひ本屋さんで手にとってみてください◎

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