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石井桃子さんのこと

コンニチハ&コンバンハ!

ごぶさたしております、ナラヤマです◎

ホントウのホントウにごぶさたなので、
おそるおそる、
こっそりと、
だれにも気づかれないように
更新したいと思います。

なぜかというと、
わたしにとってとても大切な人についてお話したいから、
ごぶさたで気恥ずかしくても
更新しなきゃならないなと思ったんです。


2008年4月2日午後
児童文学者の石井桃子さんが
101歳で永眠されました。

この「百町森通信」の第1回目は『クマのプーさん』をとりあげました。しかもブログの題名である「百町森」というのはプーさんの物語にでてくる地名にちなんで名づけたものです。

その「クマのプーさん」を翻訳されたのは、ご紹介したとおり、石井桃子さんなんです。

訃報を知ったのはベッドのなかでした。
母に知らされたわたしは、どうしてもそんな辛いことを信じたくなくて、とりあえずまた眠りました。そしてまた起きたのですが、どうしても思い出したくないことがあるのだけは覚えていて、そしてまた眠りました。

それを現実なんだと受け止めたときには、他の多くの皆さんと同じように、ただただ悲しくて泣くばかりでした。

2008年の3月は、石井桃子さんの作られた「かつら文庫」が50周年を迎えた月。
あたかもかつら文庫のお誕生日をみとどけるかのようにして
石井桃子さんは旅立っていかれました。
ご自身の願いどおり、そのこうべに五色の星の王冠をかむり、新たな世界へと入ってかれたのでしょう。


このブログを通じてわたしは、わたしの好きな児童文学を紹介したいと願っていました。けれども、大好きな作品に向き合うたび、言葉がするする逃げていくのを感じていました。
言葉によって、言葉で表せること以上のものを、表している。

だからそれはどんなに言葉を費やしても足りないんだろう。
たとえば、梅の花びらは白くて、梅の花弁は赤い、だから遠目にながめると梅ノ木は薄紅に染まってみえるんだ。だとか、めがねを通じて電灯を見透かすときにだけあらわれるプリズム。だとか、赤ちゃんのふくふくした足の指。だとか、そんなイメージを通じてしか表われない何かがそこにあるのです。

それと同じように、わたしは石井桃子さんの偉大さの前に言葉を失います。
編集者/小説家/家庭文庫推進者
石井桃子さんのお仕事はどれも根っこでつながっていて、ひとつにまとめるのは非常に困難なのです。

だから、その代わりにわたしはただ思います。
わたしは、わたしが生きているあいだ中ずっと、
桃のかわいらしい花房をみるたび
石井桃子さんの誕生日と亡くなった日とを同時に思い起こすことでしょう。

日本の子どもたちはこれまでずっと石井桃子さんの美しい日本語でそだってきました。
そして、これからもずっと、わたしたちは石井桃子さんを敬愛しつづけます。

これまでありがとう。
そしてこれからもずっと、ありがとうございました。
心からの敬愛をこめて。

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コメント (2)

カワカミ:

あぁ、石井さんもついに。
先日、草森紳一さんも亡くなられたとのことで残念に思ってたところでした。
そういえば、こないだこんな活動をしている方に出会いましたよ。
Kodomoto:http://www.kodomoto.net/

ナラ:

いつかこの時が、と覚悟はしていましたが、想像以上に悲しかったです。「新聞を読むときはまっさきに訃報欄に目を通すのよ」という人がモンゴメリの小説にでてきますが、終わることによって完結した物語は消化しやすいですよね。人の生き様ってそのまんま物語なんですね。と理屈を捏ね回しても悲しいものは悲しいまんまです。

良い本を作るだけじゃなくて、その本を届けられる場を作ることも大切だし、その場で本の良い所悪い所をフィードバックしなきゃらならない。ということは石井桃子さんのかつら文庫で教わりました。Kodomotoさんはそれを実地にやられてるんですね!すごいなぁ。フランス人は「絵本は子どもが最初に触れるアート」って言ってますけど、それもやってるんだもんなぁ。すごいなぁ。わたしもナニモノカになりたいもんです。

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2008年04月05日 23:20に投稿されたエントリーのページです。

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