杉浦日向子さんが、彰義隊をテーマにした作品『合葬』(ちくま文庫) のあとがきで、素敵な文章を書いています。
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(島崎)藤村が「夜明け前」を著わしたように、近世つまり江戸は〈暗黒の時代〉のように思われがちです。芳賀徹氏はこれに対し、近世が日曜日であり、近代=明治維新は〈月曜日の夜明け〉だとたとえています。私はこの言い方がとても好きです。
日曜日の日本に生きた父祖たちに会いたい、縁側でお茶でもすすりながら話をしたいと思っています。
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日曜日の日本。
杉浦さんの描く、教科書的でも時代劇的でもない、日常的な江戸の空気感に実にしっくりくる。
「江戸から来た」とまで言われた人の、その時代への距離感を共有できたような気がしました。
鬼島