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第7回:「すっきり!」
やってきました年末年始。
ざわつく街並み、割り込む人びと、整理のつかない私の心。
大掃除の合間に、ちょっとひと休みして本でも読んでみませんか。

コンコルド広場の椅子

『コンコルド広場の椅子』
東山魁夷
新潮社

<白い美術館で心すっきり> 選:功刀店員
日本画家・東山魁夷が親愛の気持ちを込めてパリの街を描いた詩画集です。シンプルな白い表紙のとおり軽やかで、親しみやすい作品です。透明感あふれるペン画と、広めにとった余白のすっきり感は、まるで余計なものが一切ない美術館のよう。忙しいときほど気分転換が不可欠です。走りっぱなしのあなたも、白い美術館に立ち寄ってみませんか。

寄席はるあき

『寄席はるあき』
安藤鶴夫
河出文庫

<落語は読んでも爽快です> 選:高島店員
寄席で落語を聞いた後の爽快感には代え難いですが、直接足を運べない時に手に取るのがこの一冊。生粋の江戸っ子である、アンツル先生の教養豊かで歯切れ良い文体が、寄席や落語の世界を追体験させてくれます。あとがきでは、筆者が本文中の「ラジオエッセイ台本」の音読を薦めています。どうかお試しあれ。落語がもっと楽しくなります。

世紀の誤審 オリンピックからW杯まで

『世紀の誤審 オリンピックからW杯まで』
生島 淳
光文社新書

<誤審に腹が立ったなら> 選:川上店員
スポーツを見ていて誤審を目にすると、つい感情的になり審判員の非を責めてしまう。しかし本書はそこから一歩踏み出し、なぜ誤審が起きたのかを問いかける。競技の構造、大会の成り立ち、審判員の選び方といった誤審の背景を冷静に見ていくと、誤審への憤りが驚くほど解消される。大声で審判員を怒鳴りつけた覚えのある方に、ぜひ読んでほしい。

桂ー日本建築における伝統と想像

『桂ー日本建築における伝統と想像』
ワルター・グロピウス(序)
丹下 健三
石元 泰博
中央公論社(絶版)

<静謐な場所、白と黒との美しさ> 選:松尾店員
桂離宮の神話に特別な想いを持つ建築家・丹下健三と写真家・石元泰博が制作した写真集。装飾や屋根を見せない構図。徹底してモダンな建物に見せるモノクロの世界。水平で垂直。中景の脱落。それらが生み出す透明感。そこに加わる、桂を解体してゆく情熱を秘めた丹下の文章。新年を迎えるにあたって気持ちの整理をするにはもってこいの一冊です。

図書館にてどうぞ
ここち 7号

ここち 7号 12月22日発行
にて掲載されました。

毎日新聞ホームページにて内容を閲覧できます。

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