こちらは新しいページに移行しましたので、トップページから新しいページをご連絡ださい。
book pick orchestraのトップページ

第11回:「黄金」
「黄金」と聞いて思い浮かべるのは、何ですか?
黄金に輝く宝の山? もうすぐやってくるゴールデンウィーク
今月ご紹介する本は、日常の中でキラリと光る“黄金”にきっと気づかせてくれます。

「社交界」たいがい

『「社交界」たいがい』
山本夏彦
文春文庫

<社交界のきらびやかな魅惑> 選:高島店員
巷の“セレブ”には縁遠いけれど、あのきらびやかさには不思議と興味をそそられます。 そんな未知の世界を、ルイ14世の時代から吉原に至る古今東西の話題を通して覗き見させてくれるのが本書です。 「この世に恋のまねごと以外の恋があろうか」といった不意をつく一文が、 社交界のもつ魅惑の正体を照らし出すかのように、きらりと光ります。

ポー名作集

『ポー名作集』
エドガー・アラン・ポー(著)
丸谷才一(訳)
中公文庫

<謎深き黄金の虫> 選:川上店員
「黄金虫」といってもただの「コガネムシ」ではない。まるで金で出来 ているかのように重く、描かれた図を見ると、虫というよりどう見ても 頭蓋骨なのだ。奇妙な虫が意外な展開へ導く「黄金虫」を含む八編に は、古典だからと本棚の隅に置けない面白さがある。探偵小説の父、ア メリカ最大の文豪だからではなく、ただ面白いから読んでみてほしい。

袋小路の男

『袋小路の男』
絲山 秋子
講談社文庫

<恋はこがねいろ> 選:ボンヌ店員
薄い本だけれど、内容は濃密な短編集。12年間、指すら触れることなく「あなた」を好きでい続ける「わたし」。2人の間にある恋人未満家族以上の煮え切らない絶妙な距離感を描いた表題作を色に例えるとしたら、つつましやかに輝く夕暮れの太陽のような色がぴったりです。そのゴージャスな光具合は表紙の写真がさりげなく物語ってくれています。

モーニングブレッドとパンケーキ

『モーニングブレッドとパンケーキ』
堀江 和子
柴田書店

<Stay goldな朝食レシピ本> 選:功刀店員
まばゆい朝の光の中、香ばしく焼けたパンケーキに金色のはちみつをとろりとかける。眺めるうちにそんな幸せな朝食を想像させるレシピ本です。写真と文章で紹介される、パン作りと雑貨を楽しむ著者の生活は、ずっと私の憧れ。その洗練された生活スタイルこそ、発売から10年経った今も書店の本棚で色あせずに輝き続けている、この本の魅力です。

ルリユールおじさん

『ルリユールおじさん』
いせ ひでこ
理論社

<ルリユールに見る金の輝き> 選:小林店員
ヨーロッパの伝統的な製本技術であるルリユールの職人のおじさんと少女が出会うこの絵本。 本を扱うことの厳格さとぬくもりが、そしてなにより本に対する愛情が、 パリの古い町並みの空気とともに、淡い水彩画からじんわりと伝わってきます。 職人のおじさんが直してくれた、深い緑の皮の植物図鑑に輝く金箔の表題に、想像するだけでうっとりです。

黄金と生命ー時間と錬金の人類史

『黄金と生命ー時間と錬金の人類史』
鶴岡 真弓
講談社

<黄金モード全開です> 選:松尾店員
なぜ人は黄金に惹きつけられてしまうのか? ケルト芸術の研究家・鶴岡真弓氏がその謎に迫る壮大な博物誌。考古学、神話、哲学、芸術、歴史、貨幣といった多くの視点を交え、古代から現代までの「黄金」を明らかにしていく。随所に散りばめられた引用は、まさに黄金への旅の道標。ひたすら早くページをめくりたくなる、黄金のための黄金の一冊。

ここち 11号

ここち 11号 4月26日発行
にて掲載されました。

毎日新聞ホームページにて内容を閲覧できます。

選書のお問合せ
企画のお問合せ