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第1回:「波にのる」
記念すべき創刊号のテーマは、「波にのる」。今後、波にのっていきたい!という気合いのこもったテーマながら、実際やってみるとやはり難しい。
メンバー総出で本のリストをやっとひねり出したと思いきや、掲載4冊分の選出が思った以上に大変。あっちを立てればこっちが立たず。バランスつければのっぺりと。。。しかし、当ウェブサイトでは、紙面の限りを気にすることなく、残念ながら掲載はできなかった本も含め、余すことなく紹介させていただきます。

巴里の空の下オムレツのにおいは流れる

『巴里の空の下オムレツのにおいは流れる』
石井好子
暮らしの手帖社

<波はバタのかおりとともに> 選:ボンヌ店員
シャンソン歌手としてパリを拠点に活躍していた著者が、雑誌・暮らしの手帖の名編集長、花森安治の誘いで書きはじめたエッセイをまとめた一冊。この本で、歌手のみならず、エッセイの名手としての波にのったといえるかも。1963年の初版から現在迄、舌にも目にもおいしい、 エバーグリーンな魅力を持っています。

梶井照陰写真集『NAMI』

『梶井照陰写真集:NAMI』
リトル・モア

<まずは波を見つめてみる> 選:小林店員
佐渡島に住み僧侶をしている著者が、佐渡の波を撮り続けまとめた最初の写真集。波と同じ目線で波を見つめる臨場感は新鮮な迫力があり、それゆえ踊り、歌い、つぶやく波の表情がくっきりと鮮やかだ。ゆれ動く波にどうやって乗るかはひとまず置いて、著者のようにじっと見つめ続けてみるのもいいのでは。

ズボン船長さんの話

『ズボン船長さんの話』
角野栄子(作)
鴨沢祐仁(画)
福音館書店

<老人と海と少年> 選:楢山店員
『魔女の宅急便』の作者が真夏の少年を書きました。喘息もちのケンは、四年生の夏休み、海辺の町で元船長さんの老人に出会います。七つの海の荒波にもまれた元船長さんの思い出話は、可笑しいけれど何故か物悲しい。 けれども少年はそこに何かを学びます。そして強くなって帰るのです。夏の太陽みたいにまぶしいお話です。

海からの贈物

『海からの贈物』
アン・モロウ・リンドバーグ(著)
吉田健一(訳)
新潮文庫

<海辺の小さな芸術品> 選:松尾店員
浜辺に砕ける波とともに、漂ったり、戯れたり、静かに巻き上げられたりしながら、意識はゆっくりと美しい貝がらを打ち上げる。人生をそれらの貝がらになぞらえ、女性、妻、そして一人の人間としての思索が丁寧に綴られたシンプルで美しいエッセー。周囲に流されているだけでは、美しい貝がらにはお目にかかれません。

脳波

『脳波』
ポール・アンダースン(著)
林克己(訳)
ハヤカワ文庫

<頭がよくなる波> 選:川上店員
波にのる、といっても気づかず波にのることもあるかもしれません。本書では宇宙からの特殊磁場の波に脳が影響を受けて、ある日突然、みんながみんな頭脳明晰、積年の学術的難問もサクサク解決、まさしく脳が波にのります。一見いいことばかりのようですが、さてどうでしょう。初期SFの巨匠による鋭い思索が見られます。

やす子の太陽

『やす子の太陽』
山浦章
講談社

<笑いのサーファー> 選:松尾店員
昭和風劇画タッチで呪いのような渦に無理矢理すこーんと巻き込んでくれます。非常に貧乏な斗器家。NHK会長のお父さんのことを考えると切なくなる。お母さんとよし子。お姉ちゃん。学校の皆。どんな状況になっても明るく爽やかなやす子の青春物語!波にのれればよいのですが、溺れれば前代未聞の呼吸困難になってしまうかもしれない作品です。

ここち 1号

ここち 1号 6月30日発行
にて掲載されました。

毎日新聞ホームページにて内容を閲覧できます。

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