大橋歩(20050320sun)

曜日の感覚がありません。今日も朝からブックピックのミーティングだったのですが、3連休の真ん中だということを知り「一般的には仕事を忘れてのんびりと過ごす 日なのだろうなあ」と思ったりして。そんなわけで午後からはぼくも珍しく人並みに休日気分を味わおうと思い、陽の当たる部屋でキャラメルティーを飲みながらソファーに腰掛けたりしていました。とはいえ文庫本片手にのんびりしていたわけではなく、ThinkPadをにらんで締め切りに追われていたわけですが、中身はどうあれ、まわりがふだんよりいい環境だと気持ちがいいものです。なんとなく『アルネ』な感じ、と言ったら通じるでしょうか?

「アルネ・別冊アルネは大橋歩が企画編集写真取材をしてつくっています」。大橋さんの事務所「イオグラフィック」のウェブでは『アルネ』の説明はこの一行だけで、あとは最新号とバックナンバーが紹介されているだけ。普通「どんな雑誌か」をかくべきところに「誰がつくっているか」しか書いていないという一見おかしなこのことこそが、一見ナチュラル極まりない『アルネ』という雑誌が、創刊当時実はけっこう斬新だったことをはっきりと示しているのです。

『アルネ』は、言ってしまえば大橋さんが日々の生活で見てきたものをただまとめたような雑誌です。雑誌というと普通、いわゆる情報的なところがメインですが、『アルネ』はエッセイ集のような雑誌とでも言えばいいでしょうか。つまりは、普通の気持ちのいい一日。それまで並んでいた雑誌の最大公約数的でどことなく忙しい雰囲気の中に、一気にパーソナルでのんびりした感じを持ち込んだのです。失敗すると「別にそんなもの読みたくないよね」となってしまいそうなところを難なくクリアできた秘密は、それまで数多くの気持ちのいいエッセイを書いてきた大橋さん本人が、すべて一人でつくっているそのことにあるのでしょう。

そういえばぼくが古本を仕事として買いはじめたばかりのころ、うちの親が初めて反応したのは大橋さんの本でした。あくまで『アルネ』の大橋歩の昔の文庫本、とい うつもりで仕入れたそれが「懐かしい!」と手に取られるのを見て、これだけ長く人々に愛されている大橋さんのことをもっと知りたくなり、定期的に買う作家に加え たのを憶えています。『平凡パンチ』で『クロワッサン』だった大橋さんが『アルネ』にたどり着いた秘密。わかったように書いてしまいましたが、それを本当につか むまでは、まだまだ先が長そうです。とりあえずはもうちょっと、生活らしい生活をしなきゃ。(内沼)

イオグラフィック:http://www.iog.co.jp/

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