○○銀座(20041211sat)

 ふらふらと知らない土地を歩いていると、はじめに面白い発見が目につき、何だこれは!などとひどい看板を見つけて一喜一憂したりします。そして、次に今まで見たことがあるものに目がいきます。こんな所にもあるんだねー、意外だねー、などと言いながらうんうんなんて無駄に頷きあったり。そして、そんな見たことがあるな、と思うものの中で、商店街によくありがちなのが、○○銀座というネーミング。○○銀座を見るたびに、きっとここがこの土地で一番の繁華街なのだろうとか、銀座を目指すという心意気の表れなんだろう、とか推測しながらも、心の片隅でずっと気になっていました。

 それで、銀座百点の第一号の復刻版に目を通していると、ふと、小説家の源氏鶏太さんがそのことにふれて、「横田銀座」というエッセイをお書きになっていました。横田銀座は、千葉県の「木更津より三つ目の駅で下車する」ところの横田村にあるらしいのですが、この銀座は、源氏さんも当惑してしまったほど貧相で、ただ家が「二三十軒集まっているだけ」らしく、「日本中に、何百とかの何々銀座があるそうだが、横田銀座は、中でも、いちばんのキリの方に属するだろう。」と感想を述べています。たしかに、私もお店一つない銀座は見たことないですから、きっとそうだろうと思います。ただ、「何百の銀座」が目標にしているのだから、「東京の銀座は、ウカウカしていられないことになる」とありますが、この点は、今でも銀座といえば、まだ東京の銀座が一番に思い浮かぶので、まだ東京を越える○○銀座はでてきていない、ことになるでしょう。とはいえ、銀座で満足できるシャツが見つからなかったことをブーたれる前ふりとしてこんな話を持ってきてしまうというだけで、もうなかなか面白かった。

そういえば、今でも銀座は店も人も集まる大人な街として栄えていますが、例えば、渋谷、新宿、池袋など、それに比する街がいくつもあるのもたしかなのに、○○渋谷、○○新宿などは、日本中探せばないとは言いきれないかもしれませんが、○○銀座と比べれば、ないに等しい。こういった憧れに対して、ネーミングをまねぶというのも、ある時代特有の感覚だったのかもしれませんね。(川上)

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