浜田真理子(20041104thu)

 先週、「オランダの光」というドキュメンタリー映画の試写に行きました。「オランダ」「光」というのは、それだけで、私の今のキーワードだったりするわけなので、どんな内容だとしてもオールオッケーな気持ちで、招待状を譲ってくれた友達にも感謝しつつ、途中ちょっと寝ちゃったりもしたのですが、結論的にはとてもよい映画でした、と思いました。美しい映像でした。オランダについても、光、についてもいろいろ思う所ありました。
 それで、「オランダの光」についてはいい映画なので、今なら東京は恵比寿の写真美術館で見れるので、見てね。というしかないのですが、オランダ、ひかり、に続けて、今の私のキーワードを記すならば、「おんな」ということです。川内倫子さんの項でも書いたのですが、「おんな道」ということ。おんなに生まれたことについて。おんなであることについて。にんげんの世界を二つにわける、ある境界について。結論は出ないのですが、気が付くとそのことに思いを馳せていることが多いような気がしています。
 さて、「オランダの光」を見た同じ週に浜田真理子さんのライブに行きました。ずっとずっと行きたくて、ずっと待っていたものでした。彼女は島根でOLをやりながら、インディーズでCDを出していて、時々東京でライブをしに来たりしながら、活動しているシンガーソングライターの方です。彼女の歌をはじめて聞いた時は、松山晋也さんの紹介を呼んで、彼が絶賛しているのを見て、聞いてみたのですが、シンプルだなあ、という印象。ふーん、てかんじ。でもどんどん中毒的になってしまい、かれこれ半年くらいずっと聞き続けていてます。なんてことはない歌詞で、なんてことはないメロディーなのですが、忘れられないのです。その節々に香水が香るように「おんな」のかおりをかぐことがあります。
 「おんな道」についてもう少し説明します。それは、女性であるとか、男性であるとか、どちらでもないとか、生物学的だったり、物理的だったりすることでなくて、「おんな」であることには、なにかもっと絶対的なものがあるように思えます。上手く言えないのですが、そのような「おんな」を感じる人が幾人かいて、彼女もその一人です。
 ライブは、舞台にピアノと浜田さんしかない、構成だけを言えば、弾き語りの、本当にそっけないものでした。彼女の歌は、ちょっとだけ、暗くて、さみしくて、しめってて、でも美しい。場末の酒場感にある、なつかしさがカバー曲の選曲とかにも表れているので、しんみりした気持ちになるのは、その性もあるかもしれない。でもそれだけではない。じんわり怖い。「おんな」のにおいのもとは「こわさ」かもしれません。
こわさ。なつかしさも含んだ。
生まれることににているのかもしれないです。以前に人が生まれるときについて聞いた時にそう思いました。産まれる瞬間の赤ちゃんというのは、無呼吸で、心音もものすごく弱くて、ほとんど「仮死」の状態なのだそうです。お母さんのおなかの中から出ていくとき、赤ちゃんというのは、一旦産道で死にかけて、それから外へ出て、本当に、「生まれる」そうなんですね。死の後の再生。だから、もしかして、私の言う「おんな」とは産道のようなものかもしれないです。その「死んでいる」感覚だったり、「生まれた」感覚。
あるいは、怖さの裏側にある生きることと死ぬことの境目みたいなもの。目にみえるもの、見えないもの。生きていくこと。人を好きになること。消えていくこと。世界ははかないと思う。そして美しいと思う。どこかで聞いたフレーズですけれど、そういうものがくっきりと、空気に溶け込んでいて。苦しいけれど、美しい。ライブで何を聞いた、とかについてうまく言語化できないのですが、丸ごとなかんじがしました。ただ、人が歌っているだけなのに。音楽にのせて。
 仕事の関係で「最近気になることは何ですか?」というアンケートを数人の人に書いてもらうことがありましたが、かなりマイナスな感情が多くて、ショックを受けました。世界は暗くて、みんな不安で、救いがほしいんだなあ。と。
 最近の自分のここに書くものが宗教くさいかも。というのがひそかな悩みです。あとから見直すと、「ひかり」とか「美しい」
という言葉が並べられていて、ひそかな嫌悪感すらただよいます。なんだか人生に救いをもとめすぎているようで。「癒し」(という言葉を使いたがる人々/大抵の場合)が気持ち悪いのと似ているように思って。私の今の目標はそういう「ひかり」を越えたものを「ひかり」以外のなにかで、もっと大きなものでなくて、さりげないもので見つけること。その一旦は「おんな」についてもっと考えることにある予感がしています。そのためにはちょっと逆説的ではありますが、同時にもう少し、「ひかり」についても考えることが必要かもしれません。(Bonne)

■オランダの光:http://www.cetera.co.jp/library/holland.html
■浜田真理子オフィシャルホームページ:http://www.beyondo.net/mariko/



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