キセル(20031227sat)

一日に音楽を聴いている時間はどれくらいのものでしょうか?友達とおしゃべりしながらヘッドフォンを装着している高校生なんかもたまに目撃しますが、そういうのは例外として、音楽を聴くシチュエイションというのは、(1)部屋でひとり(ぼんやり、読書、勉強、食事、睡眠...)、(2)外でひとり(ヘッドフォン装着)、(3)部屋で複数人(酒宴、のんびり、お茶...)、(4)外で複数人(ライブ、イベント、ピクニック...)、大体このようなマトリックスにまとめられると思います。私の(1)の典型としてはフィッシュマンズ、yo la tengoみたいな気持ちよくチカラ抜けちゃって、立ち上がれなくなるような音楽。こういうシチュエイション分類も、人によって違うんでしょうね。

いろんな音のコラージュとへにゃへにゃヴォーカルのチャーミングな京都発兄弟ユニット、キセルは私の中ではまさに(1)でした。なのに今日、友達のうちで料理しながら『近未来』を大きな音でかけてみたら、友達たちがそれぞれ部屋の中で好き勝手なことをしている感じに、意外にもフワフワピタリとなじんでいたのでびっくり。1stの『夢』は歌い方とかバックトラックがドラッギーなのにやられてしまって、しばらくおやすみミュージックに大活躍でしたが、2nd『近未来』はトリップ感はそのままに、1stより内にこもる感じがなくなっているから、「キセルとわたし」というより「キセルとみんな」というスキマのある音楽に変わっているのでしょうか?

そうしていつもより覚醒した頭で歌詞をなぞりつつ聴いていると、実は思うよりもリアルなんだと気づきました。これまでは歌詞をあまり認識していなくて(いつも眠っちゃうんだもの)、それほど何か実体をつかむようなものではないのかな、と思っていたのですが(失礼!)。なんていうか、そこはかとなくエロティックな気もしました。うーん、ステキ発見。夏の夕方にTVKテレビで日本のインディー音楽番組を見ているときみたいな中途半端な、とろとろと気持ちのいい時間にインスタント・トリップできちゃいます。

ああ、キセル、すごく好きです。きっとキセルのふたりと私たちにはいろんな成分が同じ濃度で含まれていて、ココロが同じ素材でできているのです。日常の中のある部分を、キセルの感覚がほんのちょっとデフォルメして、空気をほんのり色強く染めて、気持ちのいい靄にくるみこんでしまう。この不思議な音楽はやっぱり、ひとりまたは靄を共有できる親密な複数人のためのものだ、と特別に思ってしまうのです。次のアルバムがでるという噂もちらほら。楽しみです。(山田)



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