府中銀座(20031215mon)

 朝の冷え込みが厳しくなり、また1年で一番日の短いこのごろです。久しぶりにまだ陽の残るうちに地元の駅に帰って来、商店街をゆっくりと歩いていました。今は寂しくなった商店街も、私がこの町に引っ越してきた10年前は府中銀座と呼ばれてもっと栄えていたような気がします。今は八百屋とおでん種屋と蕎麦屋とが一軒ずつ。それでもわが町にはスーパーが4軒、それにデパ地下もあるから、困ることと言えば実はないのです。何年か経つと映画館が出来るらしく、駅前は毎日資材を積んだ大きなトラックが出入りをし、高いクレーン車がそれを高く高く積み上げてゆきます。

 陽が落ちて行く中、小学4年生の頃、月一回の商店街のお祭りでわたあめを食べることと、くじを引くことが楽しみだったことを思い出しました。それも私が引っ越して半年くらいでなくなってしまいした。ピンク色の缶に入ったジンジャークッキーを当てて、そのクッキーが特別美味しかったことも覚えているし、妹がキティーちゃんのお財布を当ててかなり羨ましかったことも覚えています。そしてそのピンク色の缶はまだ2番目の引き出しの奥にあるし、妹も高校生までその財布を使っていました…。こうやって10年前を鮮明に思い出すことの出来る今の自分にびっくりです。

 さて、かつての府中銀座を歩きながら、「何か買い物ある?」と携帯で母親にメールでお問い合わせ…。「葉ものときのこと卵」という返事だったので、その一軒の八百屋へ。サラダ菜100円。舞茸150円。卵MS115円。「380円でいいよー」とおじさんが3円おまけしてくれました。それがなんだか、無性に嬉しかったんですね。3円。今、3円で買えるものってないですよね。あめ玉ひとつも買えないですから。それでも、3円でこんなにもほっと嬉しくなって、寒い日に渡されたおつりを暖かく感じることがあるのだから、されど3円なんです。決して3円で買えるものではないけれど、3円であたたかくなれるもの。そのおつりを握りしめて私は暖かい家へと急ぎました。さてはて、サラダ菜と舞茸と卵で母は何を作ってくれるのでしょう…。(小沢)



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