あらかわの伝統技術展(20031206sat)

曇り空の週末スタート。夕方、都電荒川線に乗って「あらかわの伝統技術展」に行きました。荒川スポーツセンターの広い体育館部屋にたくさんブース(というか畳敷の高台)があって、桐箪笥や指物(木を組んで作る箱や箪笥など)、筆、凧、鼈甲細工、宮大工職人など実演で紹介しているもので、第24回を迎える長寿イベントです。正直これだけの分野が集まっているとは思いもよらず、大興奮でした。

ちょうどバウハウスの本を読んでいて、「熟練した技術の上に初めてなりたつ芸術」、「芸術は工芸というかたちで生活の中にあるべきである」というところにものすごくぐっときちゃってたところだったので、きっといつもよりまじまじ観察したり質問したりしました。完成品も多く展示されていて、その場で買うこともできます。ちょっと見るだけ、のつもりがついお買い物。ひとつは江戸切子のガラス、ひとつは料理用の刷毛です。

江戸切子は無色と色付きのガラスを重ねて作ったグラスの、外側の色付き層だけグラインダーなどで削って模様をきりこんでいくもので、冷たい透明の飲み物を注げばきらきらと規則正しく光が反射する様子がとてもきれいです。繊細な模様を仕上げるのにどれくらいかかるかと聞いてみれば、なんと20分強という短時間!信じられない。見て知っていた江戸切子よりモダンな模様のものも多くて、私は、作者の澤倉さんがいちばん好きと言う渋い赤に、夏草みたいな強い葉と水玉の模様のものを買いました。木箱にキチンとしまわれた、特別な飲み物のためのグラスたち。幸せ。普段作品を置いているお店を聞いて、そろえましょう絶対、と思いつつお別れしました。

それから、刷毛やさん。スイートポテトの仕上げに玉子を塗る刷毛が欲しいなあと思っていたので、刷毛職人を発見して大興奮。ペンキ用とかとか大きな刷毛たちの中に、小さい「料理用ハケ」。「抜けませんよねえ?」としつこく確認し、「抜けたら電話くれれば直すよ」といわれ納得してお買い上げ。ただし、毛は束ねてきつく縛ってあるから絶対抜けない、と断言していました。うれしいなあ。

大小様々毎日買い物をしますが、売り手と話しながら買うことは、本当に少ないです。特に、それを作っている人から直接買うことは。外食はそう言えるかもしれないけれど、料理人本人が持ってきて説明してくれることなんて、そうあることじゃない。

そのものや手入れの仕方、その他いろんな話をすることで、作った人の自信と気迫はそのままこちらに受け継がれます。腕と時間をかけて作った人の顔が思い浮かぶから、大事に真剣に長く使っていこうと自然に思えます。流行やマーケティングでいちばん届きやすいところにでてきているものは選ばれがちだけど(というか届きやすくするための手段がマーケティング、とも言えるのだけど)、本当に使いやすいもの、うつくしいものは別のところにもあるのでしょう。

今の私は「職人の作るもの」というマクロな見方しかできていないけれど、職人の作るものもきっと質の差があって、手作りのものなら絶対いいとは言えません。深い深い未知の世界。ただ今感じるのは、自然と大事にしたくなるから、手入れをしてずっと使ったり、こちらからお願いをしたり、作り手との関係が長く続きそうで、それが密になればこちらも作ることに参加しているような、もっといいものが生まれてくるような予感です。買って終わりじゃない関係がありそうな期待をほのかにしちゃいます。これからおつきあいしていきたい世界を見つけてわくわくした、とてもよい夕方でした。(山田)


用語集トップ