ドッグヴィル(20031205fri)

イヌとネコどっちが好き?といわれたならば、わたくしはイヌ派です。とはいえ、ネコも捨て難いのは確かなのですが。なぜイヌなのか、といいますとやっぱりダーシャーダーシャー(かすれ声で)とムツゴロウさんこと畑正憲氏ほどではなくとも、彼らと戯れたいからなのです。こうなると猫ではなかなか難しい。ネコは気紛れなのでプイッとされてしまっている時に、強引にダーシャーとやろうとすると痛い目にあいますし、偶然ネコがゴロニャンモードでも大型ネコというのはいないので、なでる、もしくはノドをゴロゴロさせる程度に落ち着くしかありません。だから、やはりイヌなのです。しかし、ふと振り返ってみると、昔はイヌは噛んだり、吠えたりするコワイ存在で、近付くのなんてもってのほかだと強く感じていたものでした。そして、そんなコワイイヌの存在をわたくしに思い出させたのが、先日、試写に行ってきた映画『ドッグヴィル』でした。

 監督は、ビョークが出ていたことで記憶にある人も多い『ダンサー・イン・ザ・ダーク』の奇才ラース・フォン・トリアーで、彼はカンヌ映画祭のグランプリを『奇跡の海』で、パルムドールを『ダンサー・イン・ザ・ダーク』で獲得していているすごい人なんですが、その映画はとにかく暗い、そして苦々しいのです。今作では、地面に家や道を表す線が引かれただけの異様な舞台とニコール・キッドマンが主役に抜擢、で話題なのですが、特筆すべきはやはりより完全に研ぎ澄まされた悲惨な現実のあぶり出しにあって、またもや暗くありえないほどに苦々しい。その脅威の完成度はジワジワとわたくしたちの逃げ場を消していきまして、絶望の中に映画は終わってゆきます。しかも、今回はビョークがかわいそうで涙ボロボロではなくて、わたくしたち全員に鬼才の矛先が向けられているのが素晴らしくも恐ろしいところ。そして、この映画が「ドッグ」ヴィルで、イヌも出てくるからというわけではなく、ラース・フォン・トリアーという人の映画こそが丸くなってしまった人なつこいイヌたちの中で唯一グルルルッと不吉に唸り、凶暴に吠え続けるコワイイヌのように思えて、わたくしの記憶を呼び起こしたのでした。(川上)
ドッグヴィル公式ホームページ:http://www.gaga.ne.jp/dogville/index.html


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