岡本太郎(20031027mon)

 今日は昼間にバンドの練習で国立。ダイエーファンのベーシストが連日の興奮のため風邪をひいて遅刻し、まともに練習できず。ライブ前最後なのですが、まぁ仕方がない、どうにでもなるだろうと気を取り直して、仕入れに出かけます。そこで見つけた品に、あの教科書で有名な東京書籍がその昔頑張って出していたイタリア文学のシリーズの一冊がありました。サンドロ・ヴェロネージ『この歓びの列車はどこへ向かう』。訳者は…岡本太郎?ってあの?と気になりつつ家に帰って調べてみると、あ、やっぱり違いました。イタリアものを中心として紀行文や音楽・映画評論なども手がける気鋭の翻訳家で、バリバリの現役です。つまり同姓同名ってことですね。本業は大学教授とのことでほぼ間違いなく本名でしょうが、するとやはりあの岡本氏にちなんでつけられた名前なのだろうか、などと、妙なことを気にしてしまいます。

 そういえば一ヶ月ほど前、川上君にもらったタダ券でパルコミュージアムの「写真家・岡本太郎の眼 東京と沖縄」のタダ券をもらって観に行きました。「行方不明だった壁画が発見された」というニュースも記憶に新しいように、どちらかというと彫刻とか絵画とか、そういうイメージが強い岡本太郎。実際、それらの写真は自分の創作のためだったり、旅行記などの著作の図版として使うためだったりしたものでした。つまり写真を眺める側の視点というのははじめから想定されておらず、ただ太郎さんが「見た」「感じた」ことの歓びそのものが映っています。そして絶妙なのは会場構成。写真の周囲に文筆家としてもズバ抜けていた太郎さんの言葉が至るところに散りばめられていて、写真に映された歓びが一層力強く語りかけてくるのです。パンフレットを見てみると、この会場は売れっ子デザインチーム、アジールデザインの仕事。さすがです。ウォーホル展の時のグルビとは大違いです(あくまで主観)。

 会場にはさらに、太郎さんの「芸術と人生」というタイトルの講演の肉声が流れていました。「この講演のタイトルは『芸術と人生』、となっていますが、なんか間違ってるんじゃないでしょうか。芸術『は』人生で、人生『は』芸術なんです。『と』なんて、どうでもいい。」冒頭、そんなことを言っていたように思います。岡本太郎は誰もが知っての通り「芸術は爆発だ」とも言いました。僕は「つまり人生は爆発なんだな」なんて思いながら、太郎さんが撮った、ごく普通の人々の人生が「爆発」する瞬間を眺めました。会場入り口入ってすぐの所に「顔は宇宙だ」と大きく印刷されたフィルムが浮かんでいたのを思い出します。イタリア文学の岡本さん、かれこれ一ヶ月前のことになりますが、あなたはご覧になられましたか?(内沼)

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