スティーヴ・マルクマス(20031025sat)

 ニギリズム@ロケット当日。今回はクライアントも大きいし、つくる数も多いし、アンアンの取材まで来るしで、いつも以上に気が引き締まります。基本的に裏方の僕は、今回は搬送係。朝6時半に自宅を出発し、皆がニギる碑文谷(影絵UMIRAの本拠地で、ニギリでたまにキッチンをお借りしています)に車を走らせます。一人で2時間弱の道のりを走るのは当然暇ですから、音楽は必須。迷った挙句CD−Rのファイル(100枚収納)ごと持ってきて、結局車の中で選んだのはスティーヴ・マルクマスの1stでした。

 誰がなんと言おうが、ペイヴメントが好きです。電子音楽しか聴かないインテリオシャレな方々に向けて簡単に説明させていただきますと、ペイヴメントは90年代、いわゆるローファイという括りで語られる一連の音楽を牽引したロックバンドです。92年に『スランティッド&エンチャンティッド』でデビュー、そのヘナチョコ感満載の音で一躍話題となり(ちなみに僕はこのアルバムだけは酷すぎて聴けませんが)、その後『クルーキッド・レイン』『ウーウィー・ゾーウィー』『ブライトゥン・ザ・コーナーズ』『テラー・トワイライト』と全5枚のアルバムで90年代を駆け抜け、2000年に解散。とにかく微妙(絶妙なのだけれど、あえて微妙という言葉を使うほうが似合う)なメロディーラインを追うフラフラしたヴォーカルに、2本のギターが不協和音で応戦し、酔っ払ってるとしか思えないリズム隊が奇跡的にまとめる。頼りないということが、なんでこんなに誇らしいんだろう。何百回聴いても目頭が熱くなります。そしてそのソングライターにしてヴォーカルだったのが、このスティーヴ・マルクマスなのです。ソロデビューアルバムであるこれを最初聴いた時は、ペイヴメントの時と比べてバックの演奏がやたらとキッチリしてしまった感があり、正直ガックリきました。ところがその後しばらく経つと、やっぱりスティーヴのヘロヘロメロディーが聴きたい自分がいます。そして借りるが最後、結局泣くしかありません。ここまで来るとただの偏愛だと自分でも思いますが、本でもこういうことってありますよね。なんかもう既に面白いか面白くないかということ以前に、とにかくこの作家の新作は読まずにいられない、みたいな。僕の場合、今の作家だとダントツで保坂和志ですが(しかも彼の場合は作を重ねるごとに抜群に面白くなっていますが)そういえばちょっと腑抜けた感じが似てる?どっちにも失礼なくらい他の共通点はありませんが、まぁだいたいそんなことを考えつつ、環七から目黒通りへと道を折れるのでした。日曜日の午前8時半、もちろん泣きそうになりながら、です。(内沼)


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