7 | 土曜日の朝、マーチミル一家の残りの者たちは、夫人にあれほど情熱を湧きたたせたこの土地から立ちさった。ひどくものうい電車、暑苦しいクッションのうえに埃だらけの光を照りつける太陽、ごみっぽい果てしない鉄道、汚ならしい電線の列――こうしたものが彼女の道連れだった。一方、車窓からは、紺碧の海がしだいに消えてゆき、同時に詩人の家も見えなくなった。重い心で、彼女は書物を読もうとしたが、涙が流れてきた。(P33)
K01313/幻を追う女・アリシアの日記/トマス・ハーディ(著)田代三千稔(訳)/英宝社/1951/増刷/C/sold |
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