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ゴンタは「ええ、―」と頷いただけだったが、ぼくの言った「そうなんだよな」はゴンタの言ったことそれ自体というよりもむしろゴンタの考えの方向とか筋道の方で、ゴンタというのは決して曖昧な文学的な筋道をたどろうとしない、というかそれを拒否する。だから迂遠なところと話の接ぎ穂がないようなところが混在して聞いていてわかりにくいと、ぼくはだいたいそのとおりのことを言ったのだけれど、ゴンタは一度表情を緩めてから、「―映像を抜きにして言葉をつなげてっちゃうと、言葉っていうのは本当に都合のいいほうに流れていっちゃう―って、最近よく思うから―」と言って、ぼくと話をしているあいだもビデオはずっと回していた。
U00003/草の上の朝食/保坂和志(著)/講談社/1993/ 2刷/B/1000 デビュー作「プレーンソング」の続編として書かれ、後に野間文芸新人賞を取った作品のハードカバー版。 |
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