第3回 榎本紗智×川上洋平×酒井翠×望月奈緒子×山田由紀 (聞き手:内沼晋太郎) 2005年3月@都内某所


内 : じゃあ、まず。山田さん。気になる本あった?

山 : ふふふふ。『ねこ』。猫、すごい好きで。で、これ見てたらちょっとすごい写真があって。

一同 : おー。

山 : すごいの。ぼやけてるの。でもこの人は相当猫好きだな、って。

川 : こういう瞬間の猫撮ったのってあんまないよね。

酒 : しかし、猫はいいよねー。

山 : うん。うち実家で猫半分飼ってるんだけどさあ。

一同 : は、半分?

山 : あ、違う違う(笑)野良が日に3回ぐらい来るんだけど。だんだんコミュニケーションとれてるような気がするんだけど、実は向こうは餌が目当てなだけなんだよね、マグロとか。

酒 : あたし、その感じが好き!

山 : そう!そう!あたしも!そこのドライな感じが好き。猫はほっといてくれるし。あたしもほっといていいし。それでかわいいし。犬は「あなたのことが好きですぅー」って来るもんね。知らんよそんなん、って感じ。

酒 : なんかそういう男いるよね。

男子 : (苦笑)
にゃーん!

内 : じゃあ次いこうか。榎本さんは?

榎 : あたしは、えーと、ゴッホです。最近アブサンって…

内&川 : 野球漫画の。

榎 : へ?

山 : 違うだろー(笑)

内 : 水島新司。

川 : そうそう!

内 : ドカベンみたいな人でしょ?

川 : 違っ、何言ってんだよ!どっちかっていうとイワキっぽい奴だよ!(※1

榎 : (笑)いや、あの、お酒が。アブサンっていうお酒がスイスで最近解禁されたんですけど、それが割と覚醒剤的なお酒らしいんですよ。(※2

一同 : へえー。

榎 : なんかゴッホがそれを愛飲してたらしくて。そのお酒呑みすぎて耳切り落としたっていう。

山 : やばいね、やばいお酒だね。

酒 : 呑んでみたい!呑んでみたいよね!

山 : いやいやいや(苦笑)


内 : 望月さんは何選んだの?

望 : あたしはやまだないとさんの『パリの友達』。

内 : あ、ないとさんの本は「一点突破」でやった北尾さんのインタビューの中で売ってるから、ないとさんのサイトからうちにリンク貼ってもらってるんだよ。(※3

望 : 世界観が好きで単行本とか集めてた時代もあったの。実際本人見たこともあるよ。

山 : あたし作家さんとかナマで見たことほとんどないな。

川 : でも女だと思ってて男だったり、男だと思ってて女だったりするよね、作家さん。

望 : 長嶋有とか?

榎 : あー。

内 : ブルボン小林だ。

望 : え?そうなの?

内 : そうそう。ブルボン小林っていう名前でゲーム批評書いてる。

望 : そうなんだ。

川 : なんか出るよね、もうすぐ。新しいの。(※4

酒 : ところであたしはさっきから内沼くんが持ってる本が気になってしょうがないんだけど。

内 : じゃーん。


川 : 何それ?ヅカファンて?

内 : 『ヅカファンの鑑』っていう本なんだけど、これは何がすごいかっていうと。

山 : うん。

内 : 序文、野坂昭如。

酒 : きゃー

内 : 中に書いてるひとも矢崎泰久とか戸板康二とか。結構面白くて。

山 : 高校のとき結構ファンの子とかいたよ。

内 : (突然開いた本を皆に見せつけ)ツ、ツ、ツレちゃん!

一同 : (爆笑)

内 : 『大きいわ 大物ョ 大物の大物 ツ、ツ、ツレちゃん』

川 : どんなキャッチコピーだよー!

酒 : 鳳蘭って、ツ、ツ、ツレちゃんって呼ばれてたんだ・・・

川 : しかしメイク濃いなー。

酒 : あ、巻頭カラー写真だね。すごい。

内 : そして著者サインつき!

全 : おー。

川 : メイクに負けず、内容も濃い。

内 : でしょ?まあ、とりあえず次いきますか。


酒 : あたしはこれですよー。

内 : でたよー。『サリーの高校生活』!

酒 : この秋元書房のシリーズやばいよ。つっこみどころ満載。

川 : 表紙すごいなー。っていうか高校生には見えないね。

望 : どういう内容なの?

酒 : んー。なんかいわゆる昔のアメリカンな感じの高校生・サリーが、なんかいろいろ不満があって、なんかいろいろ恋とかして、なんとなく成長する話。

山 : なんだそれ(苦笑)

川 : 昔版ビバヒルだ。(※5

内 : (本をパラパラめくってから)「二重デイト」に「ダブルデイト」ってルビ振ってある!

川 : 二重デイト!

榎 : いつごろの本なんですか?

酒 : 1957年だって。

山 : じゃあそのころはダブルデートって一般的な単語じゃなかったのね…

内 : まあ、最近はしないけどね。さてさて、川上は?

川 : ダブルデートねー、、、あ。いや、ごめん、本ね(苦笑)。えっと、『兎をめぐる十二の物語』。

内 : あー。荒川土手の事件?(※6

川 : 堤防をウサギが壊しちゃうってちょっと凄い、っていうか。ウサギってそういう感じしないじゃん。月で餅ついてる感じっていうか。

内 : まあ。

川 : だからウサギの立ち位置っていうのをちょっと考えさせられて。

酒 : これから来るよ、ウサギの時代。

川 : 鳩が「平和のシンボル」なのに実は「害鳥」みたいな。なんていうか、小学校で飼ってー、子供と戯れてー、って感じなのに、それが「掘って破壊する」っていう。なんかそのギャップを、今一度見直さねば、と思ってて。しかもさあ、日本にいるのって大体ホリウサギらしいんだよ。

酒 : ホリウサギじゃなくてアナウサギでしょ。

川 : あ(恥)

榎 : その本はノンフィクションなんですか?

川 : いや、これはね、ウサギについていろんなテーマ別に割と有名な人が文章を書いてんの。唐十郎、如月小春、松浦寿輝…

酒 : え?松浦寿輝書いてんの?

川 : うん。

酒 : 買おっかな。うちウサギ飼ってるし。

内 : 買うのかよ!売るために談義してるんじゃん! (※7


■肴にした本■購入方法
1 K00886 / ねこ / 廣田 せい子 (著), 山崎 哲 (著) / 保育社カラーブックス / 1978 年 / 重版 / B / 600
カラー写真が豊富、とにかくかわいい!
2 K01599 / 焔と色 ヴァン・ゴッホの生涯 / ステファン・ポラチェック(著)式場隆三郎(訳) / 乾元社 / 1949 年 / 初 / D / 1300
ペーパーバックのような表紙がひときわ目立つ本。ゴッホの生涯を生き生きと描く。
3 K01052 / パリの友達 / やまだないと、ナツヨウコ / KKベストセラーズ / 1999 年 / 初 / B / 600
「わたしのためのパリガイド」(表紙より)。イラストとストーリーが交互に並ぶ唯一無二のパリ旅行本。
4 U00742 / づかファンの鑑 モン・パリからベルばらまで / 鈴木田鶴子 / 1976年 / 初 / B・著者サイン入 / 1500
有名人ファン別、スター別に並べられた、充実の宝塚本。著者サイン入り!
5 K00230 / サリーの高校生活 / アン・エマリイ(著)中村能三(訳) / 秋元書房 / 1957年 /初 / B / 1200
あの「秋元文庫」の秋元書房から。中高生向けの独特のテイストもそのままです。
6 K01130 / 兎をめぐる十二の物語 / 唐十郎、如月小春、白石かずこ、坂島真琴、高田宏、図像構成、日高敏隆、平出隆、船崎克彦、松浦寿輝、松岡正剛、矢川澄子 / 新宿書房 / 1987 年 /初/ C / 2400
造本・鈴木一誌。唐十郎「兎の目は桜貝」、如月小春「兎の街」、白石かずこ「記憶の耳」、矢川澄子「兎・プレテクストとして」、高山宏「ナイトメア・ラビット」他。とても美しい本です。

注:
※1 水島新司氏のあぶさんは、実際はこんな感じです。後で調べたところによると、どうやら漫画のあぶさんも、実はここで話題になったお酒のアブサンからきているとのこと。だから、あぶさんはバットにお酒を吹き付けるらしい。

※2正式名:アブサン(absinthe[フランス語])ニガヨモギを主な香味料としたリキュールで、フランスの医師ににつくられ、スイスの会社から発売された。アルコール分70%前後で緑色。19世紀に欧州で流行り、ゴッホだけでなくピカソやランボーも好んだと言われるが、ニガヨモギに有毒成分があるため幻覚症状を起こすとのことで、多くの国で販売が禁止されていた。しかし、近年、有毒でないとの研究がされ正式に解禁。

※3一点突破第1回で北尾トロさんの杉並北尾堂から出版されているやまだないとさんの本をブックピックでも販売しているので、ないとさんのメルマガか何かからリンクを貼ってもらったことがありました。

※4長嶋有さんの新作『泣かない女はいない』3/14に発売されました。→長島有公式サイト

※5 言わずと知れた「ビバリーヒルズ高校生白書」のことです。

※6荒川の河川敷でホームレスの人がウサギをペットにしていたら、ものすごく繁殖してしまったというニュース。問題は、日本のウサギはほとんどがホリウサギという種類のため、名前の通り堤防の土に穴を掘り出してしまい、堤防の強度にも支障をきたすほどになってしまっているという点。ウサギをそこから移動させるかどうかで、役所の方とおじさんによる平行線のやりとりがテレビで流れた。

※7 酒井は結局買っていません。